この記事でわかること

AWS SAAを取った後、「次はSAPを目指そう」と決意して6ヶ月かかった。SAAが3ヶ月だったから、単純に2倍の時間がかかった計算だ。なぜそんなにかかったのか、SAAとSAPで何がそんなに違うのか——この記事では「SAAは受かったけどSAPどうしよう」という人に向けて、リアルな話を書く。


SAAとSAPの難易度差、正直なところ

まず結論から言う。SAPはSAAの「知識量が増えた版」じゃない。思考の質が変わる試験だ。

SAAは「このサービスを知っているか」を問う問題が多い。一方SAPは「複数の制約(コスト・可用性・運用負荷)がある中で、最適なアーキテクチャをどう選ぶか」を問う。選択肢が全部それっぽく見える。「間違ってはいないが最適じゃない」ような選択肢が並ぶのが特徴だ。

SAAを解いているときは「知っているか知らないか」で答えが見えた。SAPを解いているときは「全部わかるのに答えが絞れない」という頭の使い方の違いがある。これが一番のカルチャーショックだった。

比較SAASAP
問題文の長さ普通〜やや長いとにかく長い(シナリオ型)
試験時間130分180分
問題数65問75問
合格ライン720点750点
難易度感知識の広さ設計の深さ+制約の読み取り

SAPがしんどい、2つの理由

① 問題文が長くて、後半に頭が死ぬ

合格者の声を調べるとほぼ全員が口をそろえる。「問題文と選択肢がとにかく長い」「3時間の集中力が一番の敵」という感想が圧倒的に多かった。自分もまったく同じで、本番の後半は頭がかなり辛くなった。

問題文には「現在のシステムはこうで、移行の制約はこれで、コストはなるべく抑えて……」という情報量がある。読みながら整理しないと、設問の核心を取りこぼす。

一問に使える時間は平均2〜2.5分程度。長文を読んで制約を整理して4択から最適解を選ぶ。これを75問繰り返す。終盤の集中力切れは「SAPあるある」として覚悟しておいた方がいい。

自分が本番でやっていた対処法は2つ。1問2分ルールを守るため、迷ったらフラグを立てて即飛ばすこと。そして1分だけ目を瞑って休むこと。

目を瞑るのは「頭をリセットする」というより「次の問題に切り替えるためのスイッチ」に近い感覚だ。長文を読み続けていると目と頭が疲れてくるが、1分の暗転を入れるだけで次の問題への集中力が戻ってくる気がした。本番でやってみると意外と効果があった。

② 制約の「優先順位読み取り」を外すと間違う

「最もコスト効率よく」「最も可用性を高く」「運用負荷を最小限に」——SAPではこの制約条件が設問に埋まっていて、これを見落とすと4択の正解が変わる。

問題が「コスト効率最優先」なのか「可用性最優先」なのかで回答に迷うケースがある。可用性を高くすれば当然コストは高くなる。このポイントを押さえておかないと、知識があっても答えが逆になってしまう。

ちなみに、実務ではよほどミッションクリティカルなシステムでない限り、コスト効率優先な設計が多いのではないかと思う。そもそもパブリッククラウドを利用する場合、初期投資を避けてシステムを維持したい顧客が多いためだ。試験の文脈でも「コスト効率優先」の制約は頻繁に出てくる印象がある。


使った教材は3つ

① Cloud License(メインの問題演習)

合格体験記を見ると「Cloud Licenseを3〜5周回した」と答えている人が多い。「本番で見たことのある問題が出た」という声も多く、SAPの最短ルートとしての定番になっている。自分は問題集の#13〜#80付近を中心に繰り返し、4周した。

問題を解いていて一番困るのは「解説を読んでもまだわからない」という状態だ。そういう問題が出てきたとき、自分はキーワードを拾ってWeb記事や公式ドキュメントを検索するようにしていた。

特に効果的だったのが画像検索だ。「AWS Organizations 構成図」「Direct Connect 経路図」のようにキーワードと「構成図」「アーキテクチャ」を組み合わせて画像検索すると、よくまとまったスライド資料が見つかる。それをダウンロードして、自分の言葉で理解メモを書き込んでいた。図で全体像を把握してからテキストの解説を読むと、一気に理解が進む。書き込みした画像はそのまま保存しておくと、後から自分専用の参考資料になる。

② Udemy

SAAのときも使ったUdemy。SAPは出題範囲が広く解説の丁寧さが重要なので、問題量が豊富でしっかり解説されているコースを選ぶのがポイントだ。

自分はCloud Licenseをメインにしたが、最近は「AWS Solution Architect Professional (SAP-C02) 演習テスト」が人気を集めている。Cloud Licenseだけでは問題の傾向が偏ると感じる人や、もう一周分問題を解きたい人はセールのタイミングで追加するのがおすすめだ。

Udemyはセール時に買うのが基本で、定価より大幅に安くなる。急いでいなければ待った方が確実にお得だし、問題集が足りなくなったタイミングで追加できるのもUdemyの利点だ。

③ AWS Black Belt(公式ドキュメント)

Direct Connect、AWS Organizations、Control Tower——SAPでは「ネットワーク設計」「マルチアカウント管理」が必ずといっていいほど出る。ここはCloud Licenseの解説だけでは深さが足りないと感じて、苦手分野はBlack Beltの資料で補完した。

PDF形式で無料で公開されている。Cloud Licenseで「わかった気がするのに間違える」分野が出てきたらBlack Beltで深掘りする、という使い方をしていた。


6ヶ月かかった理由と、リアルなスケジュール

SAAが3ヶ月で受かっていたので「SAPも3ヶ月でいけるだろ」と最初は思っていた。結果的に6ヶ月かかった。

期間やったこと
1〜2ヶ月目Udemyで全体像のインプット。SAAのときより動画量が多く、この時点で「長い……」と感じた
3〜4ヶ月目Cloud License 1〜2周目。「知ってる問題なのに解けない」という状態が続く
5ヶ月目苦手分野(Direct Connect・Organizations)をBlack Beltで補完。Cloud License 3周目
6ヶ月目Cloud License 4周目。安定して合格点が取れるようになって試験申込

仕事と育児との並行なので、平日の勉強はほぼゼロの週も多かった。SAA同様に週末の朝に集中する方式を維持した。ただSAAより問題の難易度が高い分、「模擬試験を解く→間違えた理由を調べる」のサイクルに時間がかかった。

モチベーションが一番しんどかったのは3〜4ヶ月目だった。Cloud Licenseを1〜2周やっているのに正答率が上がらない時期が続いて、「SAPは自分には向いていないのかもしれない」という気持ちになった。

そのときに決めたのが、土日の朝だけ模試を本気でやって、昼以降は復習だけにするというルール。朝に全力で解いて、昼は間違えた問題の解説を読み直す。夕方以降は完全に家族の時間にして勉強のことは考えない。

「夜にも少しやるべきでは」という焦りは常にあったが、疲れた状態で問題を解いてもほぼ身にならない。むしろ朝の2〜3時間に集中して質を高める方が、長期間続けるには正解だった。6ヶ月続いたのはこのリズムを崩さなかったからだと思っている。


自分だけの工夫:制約条件を先に整理する

SAPは制約の読み取りが勝負だと気づいてから、模擬試験を解くとき「問題文の制約だけを先に書き出す」ことを習慣にした。

具体的には問題文を読みながら以下を整理する。

  • 何を最優先するか(コスト?可用性?運用負荷?)
  • 制約はあるか(レガシーシステムが残る?オンプレとの接続が必要?)
  • 規模感はどうか(マルチアカウント?グローバル展開?)

この3点を頭に入れた上で選択肢を読むと、「正しいけど最適じゃない」選択肢を切り落とせるようになった。SAAのときは「知識があるか」で戦っていたが、SAPは「問いを正確に読めるか」で戦う試験だと思った。


SAPを取って変わったこと

SAPを取ったことで「アーキテクチャの設計判断に口を出せる」幅がまた広がった。SAAのときは「このサービスの使い方はわかる」というレベルだったが、SAPを通じて「この要件ならこのアーキテクチャが最適で、なぜ他の選択肢が劣るか」まで説明できるようになった感覚がある。

AWSの上位資格をここまで取ってきて感じるのは、資格の勉強は「正解を覚える練習」じゃなく「トレードオフを考える訓練」だということだ。SAPまで来ると、設計レビューの会話の質が変わる。


まとめ

項目自分の場合
学習期間6ヶ月(育児・仕事と並行)
主な教材Cloud License(4周)+ Udemy + Black Belt
一番の壁問題文の長さと後半の集中力切れ
攻略のコツ制約条件を先に整理してから選択肢を読む

SAAの3ヶ月でいい感触をつかんでいたので、SAPは「少し難しいだけ」と思っていた。実際は思考のモードから変える必要がある試験だった。「設計判断に本気で口を出したい」という動機がある人には、SAPは間違いなく取る価値がある資格だ。

SAAからのステップアップを考えている人の参考になれば。AWS SAA合格体験記はこちら