週末しか手を動かせないSEとして、このブログのページはClaude Designで組んできた。デザインの当たりを出すのが速いから。
その Claude Design に6月、大型アップデートが入った。目玉は「Claude Codeとコードを往復できる」/design-sync。デザインをいじったらコードに反映、コードを直したらデザインに戻る——という双方向同期。これは自分の運用に効くかもしれない、と週末に実機で試した。
結論から書く。自分のブログでは”お断り”された。 ただし、これは失敗談で終わらない。非Reactの個人が同じおいしさを別ルートで取る方法まで分かったので、そこまで含めて残す。
4月版から6月版で何が変わったのか
そもそもClaude Designは2026年4月リリースの実験的ツール。1週間で100万人が触ったらしい。6月17日のアップデートで、ここが変わった(出典は公式ブログ)。
| 変わった点 | 中身 |
|---|---|
| コード双方向連携 | /design-syncでデザインシステムを同期・/designでターミナルから作成まで |
| インポート刷新 | GitHub・デザインファイル・raw画像から取り込むエンジンを再構築 |
| オンキャンバス編集 | 要素をドラッグ・リサイズ・整列できるレイアウト操作 |
| 出力先の拡大 | PDF/PPTX/HTMLに加えCanva・Vercel・Wix・Adobe等へ書き出し |
| 利用枠の統一 | チャット・Code・Coworkと枠を共有・1ターンの消費も削減 |
| 管理者ロック | 標準デザインを承認・固定(※これは企業チーム向け) |
個人的に一番うれしかったのは最後から2番目、利用枠の統一。前のClaude Designは「トークンがよく溶ける」と言われていて、自分も枠を気にしながら使っていた。そこが是正された。
そして本命が/design-syncの往復連携。これを試したかった。
自分のブログで /design-sync を叩いてみた
手順はこう。
- ターミナルでClaude Codeにログイン(サブスクのアカウントを選択。Claude DesignはPro/Max等に追加料金なしで含まれる)
brew upgrade claude-codeでアップデート(/design-syncは新しめのバージョンに同梱されていた)- ブログのディレクトリで
/design-syncを実行 - 「このAstroプロジェクトのデザインシステムを同期したい」と指定
ここまでは順調。スキルが起動して、既存の設定ファイルを探しにいった。初回インポート、と表示が出る。いける、と思った。
結果:Astroは”対象外”だった
ところが、スキルがプロジェクトを読んだ瞬間にこう返ってきた。
Scope: React design systems. (Reactでないデザインシステムには、Claude Design側が組み立てる材料が無い)
/design-syncが前提にしているのは、こういうプロジェクトだった。
| 求められる要件 | うちのブログの状態 |
|---|---|
| Reactコンポーネント | .astroファイルのみ(Reactではない) |
| dist/ のライブラリビルド | 無し(あるのはサイトのビルド出力) |
| TypeScriptのProps型定義 | 無し |
| Storybook等のカタログ | 無し |
なぜ弾かれるのか。ここはReactとAstroの性格の違いが効いている。
ざっくり言うと、Reactは「再利用できる部品(コンポーネント)を組み立てる仕組み」。ボタンやカードを部品として作り、画面のあちこちで使い回す。動きのあるアプリ寄りの作りに強い。一方Astroは「完成したページを軽い静的HTMLとして書き出す」フレームワーク。表示が速く、記事中心のブログに向く。うちのブログがAstroなのも、まさにこの軽さが理由。
/design-syncが欲しがるのは、前者の**「React製の部品カタログ」**。ビルド済みで型まで付いた部品の一覧を読み込んで、Claude Design側がプレビューを組み立てる仕組みになっている。ところがAstroは”完成したページ”をポンと書き出すだけで、“使い回せるReact部品の一覧”を差し出さない。だから同期しようにも、Claude Design側が掴むものが無い——これが「お断り」の正体。
「React=動きのあるアプリ向け、Astro=静的なコンテンツ向け」という理解でだいたい合っている。もう少し正確に言えば、/design-syncは”React製の部品ライブラリ”を前提にした道具で、記事中心のAstroとは、そもそも土俵が違った、ということ。
つまりこの往復連携の本当の客は、Reactでデザインシステムを回しているフロントエンドのチーム。週末に1〜2枚のページを直すような使い方は、最初から想定の外だった。ここは割り切るところ。
非Reactの個人は、同じ恩恵をどう取るか
ここで終わると損なので、代わりを調べた。結論、「往復同期」は諦めても「デザインを作って実装する」部分は今までどおり取れる。 むしろ一人で回すなら、こっちのほうが軽い。
ルート①:claude.ai/design単体で作って、HTMLで書き出す
ポイントは、弾かれたのは/design-syncという”往復同期の機能”だけ、ということ。Claude DesignのWebアプリ本体は、フレームワークに依存しない。 デザインを作ってスタンドアロンHTML(CSS同梱)や.zipで書き出せるし、そのままClaude Codeへ受け渡せる(公式ヘルプに出力形式の記載あり)。
実際の流れはこう。
- claude.ai/designで見た目を作る
- HTMLで書き出す、またはClaude Codeへハンドオフ
- Claude Codeに「これを
.astroに直して、色は既存のデザイン規則に合わせて」と頼む
これは双方向の同期ではない。デザイン→コードの一方通行。でも逆に言えば、双方向じゃなくてもこの一方通行は普通に成立する。「デザインを速く出す → コードに落とす」という、自分がClaude Designに求めていた中身は、これで足りる。/design-syncが無くても困らない。
ルート②:ブランドの色は CSS変数で一元管理する
/design-syncがうたうもう一つの売り「デザインシステムでブランド色を統一」も、個人なら大げさな仕組みは要らない。:rootにCSS変数で色を定義して、全ページから参照するだけ。
:root {
--lp-primary: #2563EB;
--lp-success: #16A34A;
--lp-danger: #DC2626;
}
うちはもともとレイアウトの共通ファイルでこれをやっていて、色の出どころは設計メモ1枚に集約している。Style Dictionaryのような本格的なトークン管理ツールもあるけれど、ページが数枚の段階では過剰。CSS変数1ファイルで十分回る。
やってみて分かった3つの結論
1. お金はかからない。 サブスク(Pro/Max等)でログインする限り、Claude Designは月額の範囲内。検証で追加請求は出ない。API課金のアカウントを選ぶと従量で取られるので、ログイン時はサブスク側を選ぶ。
2. /design-syncの往復連携は、個人のAstro/HTML運用には現状刺さらない。 あれはReactでデザインシステムを回すチームの道具。週末SEの自分には対象外だった。新機能の名前に飛びつく前に、自分の足元のスタックに合うか確認するのが先。
3. 個人が取るべきは「claude.ai/designで作る → HTMLで書き出す → Claude Codeで貼る」+「色はCSS変数で一元管理」。 これで往復連携のおいしいところは、だいたい手元に来る。
新機能は派手なほど「自分にも効く」と錯覚しやすい。今回は実機で叩いて「効かない」とハッキリ分かったのが収穫だった。道具を増やすより、手持ちの運用に合うかを試した週末。