賃貸マンションに住んでいる。でも更新のたびに家賃が上がっていく。「ずっと賃貸でいいや」と思っていたのに、その前提が揺らいできた——なら戸建てかマンションか、買うとして東京か神奈川か千葉か。小学生の子どもがいると、引っ越し=転校もついて回る。この記事は結論を押し付けない。形態(戸建て/マンション/賃貸)を決めるための検討要素を、関東で実際に並べてみた記録。同じく決めきれずにいる人向けに、週末SEが調べた事実と当事者の迷いをまとめた。

先に結論:形態は「住む年数 × 子育てフェーズ × 通勤」で決まる

戸建てかマンションか賃貸か。ネットの比較記事はだいたい「ライフスタイル次第」で終わる。それだと決められない。だから自分用に、決め手になる軸をこう整理した。

  • 住む年数:10年未満なら賃貸が身軽。20年以上住むなら買う方が報われやすい
  • 子育てフェーズ:小学生がいると「今の学区を動かせるか」が形態より先に効く隠れた制約
  • 通勤と予算:東京で消耗するか、神奈川・千葉に出て通勤時間と引き換えに広さ・支援を取るか

そして大前提が1つ変わった。「ずっと賃貸」も、もう安全な選択ではない。まずそこから。

我が家は賃貸マンション。でも家賃が毎年上がる

うちは賃貸マンション住まい。身軽だし、転職する気も半分残っている(その話は今買うか待つか編に書いた)身としては、ローンを背負わない安心感は大きかった。

ところが、その安心の土台が崩れてきた。首都圏の募集賃料が上がり続けている。

首都圏の平均募集賃料、上がり続けている(円/㎡・月) 2026年初に初の4,000円台へ(首都圏マンション・三井のリハウス調べ) 3,603円 3,803円 4,013円 2024年 2025年 2026年初

背景は新築マンションの高騰。首都圏の新築マンション平均は2025年度で約9,400万円(前年比+15%超)まで上がり、買えない層が賃貸に回って需要が堅い。つまり家賃も「待てば下がる」どころか上がっている。賃貸の身軽さは本物だけど、「コストが固定で安心」という神話は、もう成り立たない。

数字は2026年前半の市場データ。賃料・価格は時期と立地で変わる。最新は各社の調査・物件情報で確認を。

戸建て・マンション・賃貸の損得を1枚に

一般論の比較はサクッと片付ける。子育て世帯から見た3形態の素の特徴はこう。

観点戸建てマンション賃貸
騒音・近隣気を使わず済みやすい階下への足音が悩みになりがち退去で動けるが値上げリスク
部屋数・広さ増改築・3階建てで融通後から増やせない(手狭→買い替え)住み替えで対応
家事動線階段で分断されがちワンフロアで楽物件次第
維持費外壁・屋根を自分で計画管理費+修繕積立金が永続家賃に込み(実質は大家負担)
資産性土地が残る立地次第で価値維持も残らない
身軽さ低い高い

ここで見落とされがちなのがマンションの「修繕積立金」。国交省の調査では、長期修繕計画に対して積立が不足している管理組合が約3分の1、滞納を抱えるマンションも約4分の1ある。築年が進むほど値上げや一時金が来やすく、ローン完済後も終わらない固定費になる。「買えば住居費が消える」は半分しか正しくない。

同じ予算が東京・神奈川・千葉で何になるか

ここが関東で家を考える時のいちばんの分かれ目。同じ予算でも、どこに住むかで手に入る家がまるで違う。4,000〜5,000万円台を想定して、現実的に何が狙えるかを並べた。

予算4,000〜5,000万円台で現実的なのは東京23区神奈川(横浜・川崎)千葉(柏・松戸・船橋)
新築戸建てほぼ手が届かない郊外で一部現実的に出てくる
中古マンション築古・狭小が中心郊外なら現実的現実的
都心までの通勤短い30〜40分40〜60分
子の医療費助成高校まで・所得制限なし(区で統一)自治体で差自治体で差

東京23区の中古マンション平均は2025年度で1億円を大きく超える水準。4,000〜5,000万円台だと、23区内では築古・狭小に絞られる。同じ予算が、神奈川・千葉の郊外なら「庭付き戸建て」や「広めの中古マンション」に化ける。通勤時間という対価を払って、広さと予算の余裕を買う——これが関東の郊外移住の正体だと思う。

価格は2025年度時点の傾向。エリア・築年で大きく動く。具体額は各社のシミュレーターや物件情報で確認を。

小学生がいると「学区を動かせるか」が効いてくる

我が家の最大の引っかかりがこれ。子どもが小学生だと、引っ越しは原則そのまま転校になる。公立小の学区は住所で決まるのが基本で、引っ越せば指定校が変わる。いじめ対応や通学の利便など特別な事情があれば指定校変更・越境が認められる余地はあるけれど、基準は自治体ごとにバラバラで、確実ではない。

つまり形態(戸建て/マンション/賃貸)を選ぶ前に、「今の学区を動かしていいのか」という問いが先に立つ。友だち関係が安定している時期なら、形態を変えても学区は維持したい——となると「同じ学区内で住み替えられる物件があるか」という、ぐっと狭い条件になる。

支援制度の差も無視できない。子どもの医療費助成は、東京23区が高校卒業まで・所得制限なしで区によらず手厚い。神奈川・千葉は自治体ごとに年齢や所得制限が分かれる(郊外の自治体ほど手厚い例もある)。待機児童も東京の人気区にはまだ残る一方、千葉市のように国の定義で実質ゼロの自治体もある。「東京から出ると支援が薄くなる」とは限らず、移る先の自治体しだい。ここは雰囲気でなく、候補の自治体ページを1つずつ見るしかない。

医療費助成・保育の制度は自治体・年度で頻繁に変わる。必ず移転先自治体の公式ページで最新を確認すること。

生涯コストで見る「持ち家 vs 賃貸」

最後はお金。持ち家と賃貸、どっちが得かは前提しだいで逆転するので、断定はしない。ただ前提を置けば見通しは立つ。

  • 賃貸:住んでいる限り払い続ける。しかも今は上がっている。身軽さの対価として「終わらない・増えるかもしれない費用」を負う
  • 持ち家:ローン完済後は住居費がぐっと下がる。ただしゼロにはならない(戸建ては修繕、マンションは管理費+修繕積立金+固定資産税が残る)

返済額そのものの試算は返済シミュ編に、金利が上がる局面で今買うか待つかは今買うか待つか編にまとめた。ポイントは、賃貸を「固定費で安心」と見る時代が終わったこと。賃料上昇を前提に置くと、持ち家との損得ラインは以前より持ち家側に寄ってきている。それでも「10年で動くかも」なら賃貸の身軽さが勝つ。結局は最初の軸=住む年数に戻ってくる

3つの結論

検討要素を全部並べて、いま自分が立っている地点はこう。

  1. 「ずっと賃貸で安心」は前提が崩れた。賃料は上がっている。賃貸を選ぶなら「身軽さ」を理由にする。「安いから」では弱い
  2. 小学生がいる家は、形態より先に「学区を動かせるか」を決める。そこが固まると、選べる物件・地域が一気に絞れる
  3. 東京で消耗するか、神奈川・千葉で通勤と引き換えに広さ・支援を取るか。同じ予算が地域で化ける。ただし支援の手厚さは「東京か郊外か」でなく「どの自治体か」で決まる

我が家はまだ未定。でも「賃貸か購入か」を、家賃の安心に甘えて先送りするのはやめた。次は候補の自治体を1つずつ当たる番——関西(大阪・京都・兵庫)でも同じ要素で考える【関西編】は、また別の記事で。


参考・出典(公式・一次情報)

※本記事は2026年前半時点の公開情報を整理したもの。価格・賃料・自治体の制度は時期や場所で変わる。最終的な判断は各社の公式情報・各自治体の公式ページ・専門家への相談で確認を。購入や賃貸の結果を保証するものではない。